都内で行われました大平貴之(おおひらたかゆき)先生の講演会で「地上最高の星空作りを目指して ~MEGASTAR開発ストーリー~」というテーマでした。
大平先生がセガトイズと共同開発した世界初の光学式家庭用プラネタリウム「HOMESTAR」はどこかで目にされたり、聞かれたりしたことがあるのではないでしょうか?現在ではバージョンアップしモデルチェンジしながら世界で60万台以上販売されているそうです。
さて、講演が始まり「1分間目を閉じて下さい」と言われ場内が真っ暗になりMEGASTAR(メガスター)を投影し、会場がプラネタリウムと化し、カウントダウンしてお客様に目を開けて頂くと場内に「オーーッ!」という歓声が沸き起こりました。私も鳥肌が立ちました。何と美しい夜空の再現でしょうか。BGMが流れる中、先生が解説されながらのまずはほんの数分間でしたが1,000万個の実在する星空の再現が出来るMEGASTARの凄さ、素晴らしさは十分体感できました。
2005年にフジテレビで放送された大平先生のプラネタリウム製作の自伝的ドラマ『星に願いを〜七畳間で生まれた410万の星〜』、大平先生を堂本剛、ライバルの天文学者を藤木直人、幼馴染で恋人役を優香という豪華メンバーだったが、本当はライバルもいなければ恋人もいなかったので、それでは民放の地上波では成り立たないということでプラネタリウム製作に関すること以外は脚色された。また実際にそういう人生を送ってきたので未だ独身。
子どもの頃はというと勉強はできるわけでもできないわけでもなかったが、整理整頓ができず、忘れ物も多く、「基本的生活習慣」が身に付いていないので周りの人に迷惑をかけ、困らせる子供だった。
そういう子供時代にプラネタリウムを見てそのメカニズムに興味を持ち、時間や場所を自由に変えてたくさんの星をいつでも自在に操り映し出すプラネタリウムを自分の部屋で作ってみたいと思った。
最初は夜光塗料で星を作り、簡単キットを購入し投影式へと移行、本物へ近づける為徹底的に仕組みを調べレンズが必要だとわかり、電話を掛け捲ったら親切なある工場の方がタダで大量のレンズを分けてくれたが小学生の力ではあまりにも無謀だと自身も悟り途中までしか作れなかったが、調べたことや失敗、試行錯誤したことが後に役立つことになる。
高校生になり文化祭でピンホール式プラネタリウムを上映し成功。ただ悩みもあり学校へ通うのに電車で90分も掛かり、同級生は短時間で通えるバイク通学で羨ましかったがバイクも免許も無いので何とかしようとジェットエンジンを自転車に付ければ早く学校に行けると道路交通法を知らない当時は真面目に考え、自宅の庭で近所迷惑を顧みず試行錯誤しながら実際にジェットエンジンを作ったがすぐにバラバラになった。
ものづくり魂に火がつき高度2,000m位まで上がる固体燃料ロケットも作った。航空法違反と火薬取締法違反で検挙される恐れがあるので決して真似しないで下さいと。
本当にあった話。知人は機体が電波を反射しレーダーに捕捉されやすいアルミ合金のロケットを海に向け発射したために沿岸部の警戒をしている米軍の厚木基地から戦闘機が出動し大騒ぎになりその人は大変な目に遭った。ちなみに大平先生のロケットの機体はカーボンファイバー製でレーダーには捕捉されにくいステルス性能を備えていたので何事もなかった。
その後大学に進学し小学生から高校生まで出来なかったプラネタリウムの夢に戻るが専門家にはレンズ式を個人で作るのは無理だと言われ、だったらもしこれが出来れば凄いことじゃないかと思い、諦めずに勉強し、様々な分野の多くの人に助けられ、星の写真のフィルムを使い自動で穴を開け焼き付けていく装置を自作し、約4年で最初に完成させたのがレンズ式プラネタリウム「アストロライナー」。
調子に乗り各地で上映会を開催していたら大きくて重くて不安定なため倒れ壊れてしまった。しかし一人で自分の家の2階から降ろしレンタカーに乗せ会場へ運び設置し、また自宅まで持って帰るために次はもっとコンパクトで軽く使いやすいものを作ろうと、重量は30kg以内、レンタカーのワゴン車を借りなくても普通乗用車で運べる大きさを目標に。当時お父さんの車のトランクに収まるサイズが縦横46cmまでだったのでこのサイズで作っていたらお父さんが車を買い替えてしまい、新しい車のトランクの大きさを測ると収まらず途方に暮れたがよくよく考えると助手席に載せればいいと気付いた。心無い友人は助手席にプラネタリウムを載せているのを見て「プラネタリウムがガールフレンドなんだね」と言われ「放っとけ」と思った。
そんな声にもめげずついに直径46cm、重量が27kgという目標を達成した「MEGA STAR」を完成させ、プラネタリウムの製造メーカーやプラネタリウムを上映する学芸員が世界中から集まる国際プラネタリウム協会のロンドン大会に一個人が作ったプラネタリウムを持ち込み世界に向かって初披露。上映前は個人レベルのものだから大したことはないと笑っていた人たちが、映し出された星空が参加者全員の予想を遙かに超えるもので100万個を超える星に驚き、質問攻めにあった。
今までのプラネタリウムは星座や星の勉強のための施設だったのが、美術館の上映では満天の星空を一面に映し出し、音楽と共に世界の様々な土地、波や風の音、オーロラなどを眺めながらゆったりと体験する内容だと既存の客とは層が全く違い大人のカップルがラブチェアーに腰掛け見ている。参加した綺麗な女性から後日手紙を貰い、運が向いてきたかと思いきや、「素敵過ぎて隣にいる恋人と結婚したくなりました」と書いてあり、「何だ俺じゃないんだ」と現実に引き戻されたが、よくよく考えるとオタクの自分が汚い場所(自身の部屋)で作ったものが綺麗な星空を作り出しカップルたちに結婚の機会を与えている、これは凄いことだと思った。これこそが少子化対策である、と。
今は港区の白金に「プラネタリウムBAR」もでき、シャンパン片手にお酒を飲みながら星を楽しめる場所もある。
大平先生の究極の目標は「ギガスター」。どんなものかお知りになりたい方は是非一度講演をお聴き下さい。
そして最後に再びMEGASTAR(メガスター)を投影し、流れ星もあり、星の動きもあり、きっと今日のお客様は非常に心地良い癒しの空間に身を委ね非日常を存分に楽しんで頂けたのではないかと思います。
淡々とした語り口の中に人柄の良さが滲み出て、決して自慢話ではなくものづくりに向かう真摯な姿勢、微笑ましい失敗などのエピソードを交え、成功までの道程を笑いも随所に入れながら聴いた後に余韻が残り、講演というよりはまるで読み聞かせのように感じました。
少し予算的には掛かってしまいますが是非MEGASTAR(メガスター)の投影はセットでお考え頂けた方がよりインパクトある心に残る講演会になること間違いなしです。
お問い合わせ・ご相談は
日本綜合経営協会は、全国47都道府県を対象に講演依頼に基づく講師派遣や、企画提案などを行なっております。
主催者の開催目的に合わせた最適なご提案から、手続き運営サポートまで。業歴49年、経験豊かな当社スタッフにトータルでおまかせください。