6月4日に都内で名越康文先生の講演を聴いてきました。
弊社お得意様主催でテーマは「心の健康・・・心がフッと軽くなる【瞬間の心理学】」でした。
今回の本来の講師は植木理恵先生でしたが急病の為、弊社担当者が名越先生に急遽一週前に代演という無理なお願いでしたが何とかスケジュールのご調整を頂き、穴を開けることなく無事開催できました。この場をお借りしてご快諾下さった名越先生とお手数をお掛け致しました事務所のスタッフの皆さんにお礼申し上げます。ありがとうございました。
さて、名越先生は少し早めに到着され控え室で主催者の皆さんと講演時間ギリギリまで和やかに談笑され、傍にいる私もこんなに間際までお話されていて大丈夫なのだろうかと心配してしまうぐらいでした。
講演はと言いますと控え室同様終始にこやかで、導入部ではTVでよく取り上げられる心理学は「合コンに女性がどういうイヤリングや洋服を身に着ければ良いか?」という問いに「少し長めのチェーンだとブラブラと動くイヤリングが目にチラチラするので獲物が動いてるという感覚になり男の狩りの本能を刺激するので動くイヤリングだとモテる」とか、「赤い色は闘争本能を掻き立てるから勝負服は赤が良い」とか答える、良く言えばHow to心理学が多い。
またTVではコメントする時間の制約があり、だいたい10~15秒。この時間では“名越心理学”の説明は出来ない。30秒も話すと「番組潰す気か!」と怒られる。
某TV局が“名越心理学”を是非紹介したいと言ってくれ、最低30分は説明しなければならないと伝えたら実際に来てくれて、1時間半以上喋って録画して、帰り際にスタッフ同士が「どうやって2分にまとめるか」と話していた。それほどTVでは時間が無い。その後連絡も無く放送されたとは聞いていない。
1999年開業。この当時の鬱病は人口の0.2~0.3%と言われていたが1年前にある医師と話したらある地方自治体の職員が精神科または心療内科へ現在及び過去に通院していた人までを含むと10人に1人、そして精神科または心療内科へ通わなければならない症状が出る人が5人に1人。つまりもの凄くハードな仕事をしている証拠。
最近やっと自殺者が年に3万人を切ったと言われているが、間違いなく自殺者の90%以上は鬱病。命を絶つという行為は精神病でないと出来ることではない。
「自分を支える心の技法」という中学生でも簡単に読める(ご本人曰く奇跡の書と言われる)How to本を書いた。
書く切っ掛けは西洋医学、心理学(これも西洋からのもの)を長年やってきて納得のいかないことがあった。西洋の医学には「健康」の定義が無い。当然「健康な心」の定義も無い。基準も無い。
これからの医療は「自力が半分、他力が半分」を常識にしたい。病気になる人の大半が運動不足。自力とは年代別自分に合った運動を医師に紹介されてやること。今は入院すると運動不足で糖尿病になると医師が言う時代。
名越氏も「足助(あすけ)体操」を実践している。
足助先生が言われるには癌になる人は食べる時に丸飲みしているそうで、ものを噛んでいない。足助先生の患者さんで癌になった女性が一口60回噛むことをやり続け1年で癌が消えたが、その後また噛まなくなったら再発した。この女性にとっては噛むことが運動だったがそれをして貰えなかった悔しさから悪い所にピンポイントで効く200種類もの運動を開発された。
「自力半分、他力半分」を皆が実践できたら日本の医療費が2割は減るはず。
鬱病、パニック障害の患者さんは体が硬い。「関節に神が宿る」という言葉がある。関節が柔らかいと心も柔らかい。筋トレは続かない。関節を柔らかくする毎日10分続けられる運動がベスト。毎日10分続けられるということは基本的な生活習慣が身に付いているので精神的に安定している証拠。
私の講義を単位とは関係なく聴いてくれている学生が講義終了後につかつかとやって来て「今日の講義は僕にとっては何の為にもならなかった」と言ったので「なんでそんなに怒ってるの?」と訊くとその彼が「僕は2年間怒ったことがありません」と言ったが、顔を見たら完全に怒っていた。怒った事ありませんと言って怒ってる人、これを精神科の医師はノイローゼと言う。ノイローゼの人は自分の感情に気付けない。
アメリカ・カリフォルニアの大学生が見た夢を調べると70%以上がホラー、怖い夢、嫌な夢だった。どんな人でも最低2分以上眼を閉じていると色んなネガティブなことを考えてしまう。これは人間がそういう生き物であるということ。
「泣く」ということは怒っていること。決して悲しいからそうするのではない。赤ちゃんを見ればわかる。嫌なことがあったら怒るという法則がある。泣けば母親が対応してくれるということを誰に教わったわけではないのに赤ちゃんは知っている。人は愛している、好きな人に対して甘えて怒りを表してしまう。
イライラしてカチンカチンと来ている人のほとんどは体調が悪い。
怒りの祓い方。ゆっくりと深呼吸して口を窄めてフゥ~~ッと15秒ぐらいで息を吐く。
ロシア武術、軍隊格闘術に「システマ」というのがある。軍隊なので戦場から生きて帰らなければならない。どんな人が生きて帰ってくるか?それは「呼吸が出来る人」、どんな急場の鉄火場でもしっかり呼吸が出来ている人は理性が飛ばない。息をフゥ~~ッとゆっくり吐くと理性が戻ってくる。
それでもまだ収まらない人には呪文「私は今怒っております。私は今怒っております。私は今怒っております。」とゆっくり3回唱えると消える。
気持ちが暗いのも怒り。暗さをやっつけるのは朝。出来れば起きてから10分以内に、遅くとも30分以内に深呼吸する、あるいは背骨に熱いシャワーを掛けていく。風邪気味とか疲れていると熱さを感じない所がある。そこが疲れているポイントなので重点的にシャワーを当てると15~20秒で熱さが戻ってくる。こうやって体の感受性を上げるだけで気分が大分上がる。体を動かす、一番良いのは関節を柔らかくする体操をして欲しい。どうしても時間が無い時に瞬間に上げる方法がある。それは祈ること。宗教的な祈りではなく、例えば「今日一日家族が幸せでありますように」とか「私と会う人が少しでも笑顔が出ますように」で良いんです。ただし本気で5秒でいいので集中して祈って下さい。そうすると1週間もすると心が晴れやかになります。
「名越の心理学」は毎日やって下さい。続けることが大事です。
先生ご自身も大学時代に鬱病になられた経験談も交え深刻な話をなるべく楽しく聴いて頂けるよう大変気を遣われながら、質疑応答も丁寧に答えて下さいました。
帰りは主催者の方々に見送られ一緒に会場を後にし、先生も電車でお帰りになられました。いつもそうされておられるそうなので見かけたら声を掛けてあげてみて下さい。きっとフランクに応えて下さると思います。
5月22日に都内で二宮清純先生の講演を聴いてきました。
「スポーツに見る、勝つ組織、負ける組織」というテーマで弊社お得意様主催の講演会でした。
やはり今年はサッカー、ワールドカップ。
勝つ組織と負ける組織、どこが違うか?それは「準備力」、準備無くして勝利無し。
私は30年ちょっと毎日勝ち負けばかり見てきた。顔を見ただけで麻雀が弱そうだとわかってくる。
前回初めて日本は国外で行われた南アフリカのW杯で、決勝トーナメント進出を決めた。その南アフリカのW杯で日本がトップだったものは何か?それはオンターゲット率(ゴールの枠を捉えたシュートの割合を数値化したもの)。信じられないかもしれないが日本は世界で一番シュートが巧い国。ちなみに1998年のW杯フランス大会では32の出場国・地域中最下位の20%だったがたった12年でトップへ。なぜ劇的に変わったのか?
南アフリカのW杯で使用されたボールはアディダス社の「ジャブラニ」、これはツルッとした新球に近い空気抵抗が少なくブレ球になるボール。これを世界の国内リーグで最初に採用したのが日本のJリーグ。だから日本は「ジャブラニ」にいち早く慣れることができた。これが劇的に改善した大きな理由。これが「準備力」。
シドニーオリンピックでマラソン初の金メダリストとなった高橋尚子選手。彼女は42.195kmのマラソンでかなり距離を残し、誰も想像しなかったであろう最もアップダウンが厳しい35kmでサングラスを放り投げるという合図でスパート。サングラスは高橋選手のお父さんが拾った。お父さんはたまたまそこにいて天文学的確率で拾うという偶然か?そうではない。“完全犯罪”に違いない。つまりお父さんは何かの役割を担ってそこに立っていて何かサインを出したはず。
実はシドニーの空港で小出監督にばったり遭った。本番前に一度練習を見せて欲しいと取材を申し込んで携帯電話番号を教えて貰い掛けたら一切繋がらない後で聞くとチームQちゃんのメンバーとご両親位しか秘密の「アジト」(合宿所)は知らなかった。なんとその場所は35km地点の手前で、そこでスパートする練習をやっていた。
「極秘作戦」を関係者以外誰にも知られたくなかったのだろう。このことで学んだことがある。それは「大事なことは喋らない」ということ。簡単そうで難しいこと、「ここだけの話、お前にだけ」と言って口外すると間違いなく広まる。秘密の匂いを嗅ぎつけるプロである我々ジャーナリストの誰一人知らなかった。ここまでやったから金メダルが獲れた。徹底した「準備」と徹底した「情報管理」、スポーツでもビジネスでも勝ちたければここまでやるしかない。これが鉄則。
北京オリンピック、初めて男子400mリレーで銅メダルを獲得した。日本人は長距離はいけるが短距離は難しい。昨年100mを9秒台で走った選手が90人で内88人は黒人。日本人は未だかつていない。しかし朝原キャプテンはじめ4人で力を合わせての快挙。リレーはバトンを受けるためどこで走り出すか各自テープで目印をコースに貼るが、北京の公式テープは色がシルバーだった。予選当日は雨が降っていて、照明が眩しかったので一計を案じた朝原選手が白いテープをまるで密輸するかのごとくスパイクのつま先にギュッと押し込み持ち込んだ。そしてこのテープのお陰で日本のバトンパスが見事にきれいに繋がった。他国はどうだったか、何とバトンミスで6チームも失格し、選挙で言えば繰り上げ当選で銅メダルを獲得。「日本は運がよかったなぁ」と嫌味を言われたがミスをする方に原因がある。こんな天気の日に言われたまま銀のテープを張るとどうなるか?当然滑ってひっくり返ってバトンを落とす。日本だけが転ばぬ先の杖を用意した。このテープを用意したという所に日本は表彰台に上がる権利を得たと思う。要するに「準備力」。
負ける人は必ず言う「運が無かった」と。でも違う、準備をしなかったのだと。
先日パスツールに関する本を読んだ。二つ名言がある。一つは「科学者には国籍はあるが国境は無い」、今はアスリートにもビジネスにも同じことが言える。もう一つは「準備無き者には偶然すら微笑まない」。
パスツールは「なぜお前の研究は上手くいくんだ?皆同じように頑張っているのに。運が良いな、ツイてるな」と仲間から妬まれ、疎まれたが彼らに「準備無き者には偶然すら微笑まない」という手紙を送った。これは多分自分が他人の見ていない所でどれだけ努力し、苦労し、準備しているか知らないだろう?知りもしないで運が良いとかツキがあるとか言わないでくれよ、そこが俺とあなた方との差なんだよ、と言いたかったのだと思う。
同じようなことがあった。高橋尚子選手が故障で走れない時期があり、東京マラソンで見事な復活を遂げたときのこと、マスコミが言う「やっぱりQちゃんは強い星の元に生まれた、何か持ってるなぁ」、それに応えて高橋選手は「24時間は誰にでも与えられた平等な時間です」と反駁。きっと彼女は「あなたが24時間しかなくて私に26時間あったらズルいかもしれない。でも同じ24時間で平等でしょ、その時間を真剣にマラソンについて考えているし、ちゃんとトレーニングもやっているのよ。そんなこと知らないでしょ!?知りもしないでツキがあるとか何か持ってるとか言わないで!強い星の元だとかそういう話にしないでくれ!」とQちゃんは言いたかったのではないか?
これは科学者であれアスリートであれビジネスマンであれ超一流の人たちの考え方の根底は同じではないか。とにかく準備を怠らない、徹底して準備をする、その果てにしか栄光はない。
ソリューション(解決できる力)よりプリパレーション(起きる前にリスクの芽を摘む力)。想定外のことも想定できる人こそが21世紀のリーダーに相応しい。
失敗学の権威、畑村洋太郎氏の言葉、「これから肝に銘じることはあり得ることは起こる。あり得ないと思うことも起こる」。
スポーツではだいたい負ける時は想定外のことが起きるが、勝てるリーダーは常に最悪の状況を想定し、慌てず騒がず最善のカードを切って見せる。これが究極の危機管理ではないかと私は思う。
選手について、世界で結果を出す選手とそうでない選手との違いは何か?
それは「スキル(Skill)よりもウィル(Will)」、つまり世界を制する選手、組織にはオンリーワンのスキルがある。
MLBの先駆者「野茂英雄」、プロに入って最初に言われたこと「そのフォーム(トルネード投法)を止めろ」、と。もし彼がトルネード投法を止めていたら彼の栄光は無かっただろう。彼がMLBに行くことが決まってTVの対談番組に野茂投手と日本人のマイナーリーガーと3人で出演。そこでマイナーリーガーが先輩風を吹かせたのかもしれませんが「野茂さん、英語は喋れるの?英語が喋れないとベンチでいじめに遭うよ」というと野茂氏は「僕はアメリカに英語を覚えに行く訳ではありません、野球をやりに行くんです」と答えたのを見て「絶対に成功すると確信した。
バッターではイチロー、彼のオンリーワンといえば振り子打法、でもプロでは認められなかった。
「何だその変な打ち方は!?お前は足も速いし、肩も良い、その変てこな打ち方を止めたら一軍で使ってやる。」
「嫌です。これは今僕が開発中の技術です。もし認められないんだったら二軍で10年野球やらせて下さい。もう少し時間が掛かります。」
「くそ生意気な、なら二軍だ!」
と言われ二軍に落とされ、その時の話し相手がパンチ佐藤。最近は旅番組でよく温泉に入っていますが、元ドラフト1位の選手です。その彼がイチローに「イチロー、言うことを聞け、野球選手は言うこと聞かんと使って貰えんぞ、使って貰わんと給料も上がらんぞ」と言うと「このフォームが認められないんだったら僕は野球を辞めてもいい」とイチローは言った。
野茂もイチローも「スキル(Skill)よりもウィル(Will)」、志、目的意識、折れない心を持っている。
アマの世界も同じ。
スピードスケート初のゴールドメダリスト、清水宏保選手。元々小児ぜんそくで背が低かったので限界のある少年と言われていた。身長は公称160cmだが実際は157とか8くらいかも。背が低いということはストライドが短いので限界があるのでこう言われたらしい「現実を見ろ」、それに対し「現実は見るものじゃありません、現実は変える為にあるんです」と言い返し、ハンディをアドバンテージに変えた。足の短さを逆手に取り、トップスピードに乗るまでの時間は短いので「ロケットスタート」というオンリーワンのスキル、秘密兵器を編み出し、金メダルを獲った。普通は表彰台の真ん中で選手が手を繋ぎ高く挙げると山型になるようになっているはずだが、清水選手の時に生まれて初めてM字型になったのを見た。
天才はいない。そんなに皆差は無い。どこかで諦めるか、妥協するか、そこの違いだけだと思う。
スポーツの世界では「バッタ現象」というのがある。バッタは20cmの虫かごに入れるとその後に50cmのかごに入れても20cmしか飛べなくなる。最初に入れられた環境の中で飛べる距離を自分で決めてしまうらしい。
もっと伸びると思った選手が自分で「僕はここまで」それ以上は無理だと限定してしまう。
どの世界も同じではないか?実は自分の才能を知らないのは自分なのではないかと思う。
徹底した準備をし、リスクを取りオンリーワンのスキルを編み出したら折れない心(ウィル)で意志を貫き通す、これが最も大事。
最後にサッカー指導者、スポーツの指導者のみならずビジネスリーダーまでが愛読するイタリアのサッカーの教本の中に出てくる最後の一行の言葉を紹介された。
「良きリーダーたらんとする者はまず以て良き背中を持ちなさい」、つまりリーダーの1丁目1番地は「背中」であると言いたいのではないだろうか。
この話で締めくくられた。
「背中」の詳細は実際にお聴きになって頂くのがベストですのであえてここは記載しないでおきます。
「背中」の話の中で絶対に出るだろうと思っていた通り「苦しくなったら私の背中を見なさい」と言った澤穂希選手の話もありましたので、講演終了後に控え室で二宮先生に「澤穂希選手は女にしておくには勿体無いですね」と申し上げましたら笑っておられましたが、様々なスポーツの世界のことを仕事とはいえまぁ良くご存じなこと。
他所でも二宮先生の講演を聴かれた主催者の方が、「今日はその時とは違う話ばかりでとても楽しかった」と仰られたのを伺い、さすが、引出をたくさんお持ちなのだと改めて感心しました。
5月13日都内で行われました長年の弊社お客様主催の大平貴之先生の講演会で「地上最高の星空作りを目指して ~MEGASTAR開発ストーリー~」というテーマでした。
大平先生がセガトイズと共同開発した世界初の光学式家庭用プラネタリウム「HOMESTAR」はどこかで目にされたり、聞かれたりしたことがあるのではないでしょうか?現在ではバージョンアップしモデルチェンジしながら世界で60万台以上販売されているそうです。
さて、講演が始まり「1分間目を閉じて下さい」と言われ場内が真っ暗になりMEGASTAR(メガスター)を投影し、会場がプラネタリウムと化し、カウントダウンしてお客様に目を開けて頂くと場内に「オーーッ!」という歓声が沸き起こりました。私も鳥肌が立ちました。何と美しい夜空の再現でしょうか。BGMが流れる中、先生が解説されながらのまずはほんの数分間でしたが1,000万個の実在する星空の再現が出来るMEGASTARの凄さ、素晴らしさは十分体感できました。
2005年にフジテレビで放送された大平先生のプラネタリウム製作の自伝的ドラマ『星に願いを〜七畳間で生まれた410万の星〜』、大平先生を堂本剛、ライバルの天文学者を藤木直人、幼馴染で恋人役を優香という豪華メンバーだったが、本当はライバルもいなければ恋人もいなかったので、それでは民放の地上波では成り立たないということでプラネタリウム製作に関すること以外は脚色された。また実際にそういう人生を送ってきたので未だ独身。
子どもの頃はというと勉強はできるわけでもできないわけでもなかったが、整理整頓ができず、忘れ物も多く、「基本的生活習慣」が身に付いていないので周りの人に迷惑をかけ、困らせる子供だった。
そういう子供時代にプラネタリウムを見てそのメカニズムに興味を持ち、時間や場所を自由に変えてたくさんの星をいつでも自在に操り映し出すプラネタリウムを自分の部屋で作ってみたいと思った。
最初は夜光塗料で星を作り、簡単キットを購入し投影式へと移行、本物へ近づける為徹底的に仕組みを調べレンズが必要だとわかり、電話を掛け捲ったら親切なある工場の方がタダで大量のレンズを分けてくれたが小学生の力ではあまりにも無謀だと自身も悟り途中までしか作れなかったが、調べたことや失敗、試行錯誤したことが後に役立つことになる。
高校生になり文化祭でピンホール式プラネタリウムを上映し成功。ただ悩みもあり学校へ通うのに電車で90分も掛かり、同級生は短時間で通えるバイク通学で羨ましかったがバイクも免許も無いので何とかしようとジェットエンジンを自転車に付ければ早く学校に行けると道路交通法を知らない当時は真面目に考え、自宅の庭で近所迷惑を顧みず試行錯誤しながら実際にジェットエンジンを作ったがすぐにバラバラになった。
ものづくり魂に火がつき高度2,000m位まで上がる固体燃料ロケットも作った。航空法違反と火薬取締法違反で検挙される恐れがあるので決して真似しないで下さいと。
本当にあった話。知人は機体が電波を反射しレーダーに捕捉されやすいアルミ合金のロケットを海に向け発射したために沿岸部の警戒をしている米軍の厚木基地から戦闘機が出動し大騒ぎになりその人は大変な目に遭った。ちなみに大平先生のロケットの機体はカーボンファイバー製でレーダーには捕捉されにくいステルス性能を備えていたので何事もなかった。
その後大学に進学し小学生から高校生まで出来なかったプラネタリウムの夢に戻るが専門家にはレンズ式を個人で作るのは無理だと言われ、だったらもしこれが出来れば凄いことじゃないかと思い、諦めずに勉強し、様々な分野の多くの人に助けられ、星の写真のフィルムを使い自動で穴を開け焼き付けていく装置を自作し、約4年で最初に完成させたのがレンズ式プラネタリウム「アストロライナー」。
調子に乗り各地で上映会を開催していたら大きくて重くて不安定なため倒れ壊れてしまった。しかし一人で自分の家の2階から降ろしレンタカーに乗せ会場へ運び設置し、また自宅まで持って帰るために次はもっとコンパクトで軽く使いやすいものを作ろうと、重量は30kg以内、レンタカーのワゴン車を借りなくても普通乗用車で運べる大きさを目標に。当時お父さんの車のトランクに収まるサイズが縦横46cmまでだったのでこのサイズで作っていたらお父さんが車を買い替えてしまい、新しい車のトランクの大きさを測ると収まらず途方に暮れたがよくよく考えると助手席に載せればいいと気付いた。心無い友人は助手席にプラネタリウムを載せているのを見て「プラネタリウムがガールフレンドなんだね」と言われ「放っとけ」と思った。
そんな声にもめげずついに直径46cm、重量が27kgという目標を達成した「MEGA STAR」を完成させ、プラネタリウムの製造メーカーやプラネタリウムを上映する学芸員が世界中から集まる国際プラネタリウム協会のロンドン大会に一個人が作ったプラネタリウムを持ち込み世界に向かって初披露。上映前は個人レベルのものだから大したことはないと笑っていた人たちが、映し出された星空が参加者全員の予想を遙かに超えるもので100万個を超える星に驚き、質問攻めにあった。
今までのプラネタリウムは星座や星の勉強のための施設だったのが、美術館の上映では満天の星空を一面に映し出し、音楽と共に世界の様々な土地、波や風の音、オーロラなどを眺めながらゆったりと体験する内容だと既存の客とは層が全く違い大人のカップルがラブチェアーに腰掛け見ている。参加した綺麗な女性から後日手紙を貰い、運が向いてきたかと思いきや、「素敵過ぎて隣にいる恋人と結婚したくなりました」と書いてあり、「何だ俺じゃないんだ」と現実に引き戻されたが、よくよく考えるとオタクの自分が汚い場所(自身の部屋)で作ったものが綺麗な星空を作り出しカップルたちに結婚の機会を与えている、これは凄いことだと思った。これこそが少子化対策である、と。
今は港区の白金に「プラネタリウムBAR」もでき、シャンパン片手にお酒を飲みながら星を楽しめる場所もある。
大平先生の究極の目標は「ギガスター」。どんなものかお知りになりたい方は是非一度講演をお聴き下さい。
そして最後に再びMEGASTAR(メガスター)を投影し、流れ星もあり、星の動きもあり、きっと今日のお客様は非常に心地良い癒しの空間に身を委ね非日常を存分に楽しんで頂けたのではないかと思います。
淡々とした語り口の中に人柄の良さが滲み出て、決して自慢話ではなくものづくりに向かう真摯な姿勢、微笑ましい失敗などのエピソードを交え、成功までの道程を笑いも随所に入れながら聴いた後に余韻が残り、講演というよりはまるで読み聞かせのように感じました。
少し予算的には掛かってしまいますが是非MEGASTAR(メガスター)の投影はセットでお考え頂けた方がよりインパクトある心に残る講演会になること間違いなしです。
4月10日名古屋で弊社お客様主催の研修会で菅野朋子先生の講演を聴いてきました。
「最近の労働トラブルと対処法」というテーマでした。
『講師同行サービス』を利用しての出張となりました。
余談ですが往きの新幹線では通路を挟んで私たちの隣の窓側の方の席に大村愛知県知事、すぐ前の席の窓側に朝日新聞の星浩氏(お世話になっておりますのでご挨拶させて頂きました)、通路を俳優の奥田瑛二氏が歩いておられ同じ号車、そして皆さん同じく名古屋で下車されました。
今回は講演とは言え実質は研修会です。
まずは労働法の基礎を「労働三法」から説明、労働トラブルの解決手段、放っておくと審判が確定し罰則も、審判官は労働者寄り、証拠となる資料を普段から揃えておくことが肝心。
近年のインターネットの発達により労働者側は相当の知識を持って声を上げることが増えた。
多いトラブルは「不当解雇、雇止め」「未払い残業」「セクハラ、パワハラ」で具体的な事例を挙げ使用者側が注意すべき点、対応策など。
過払い請求がひと段落し「未払い残業」請求に乗り換える弁護士が増えている。
「セクハラ、パワハラ」は被害者の“主観(例えば福山雅治ならOKだが脂ぎったチビ、デブ、ハゲおやじはNGといった)”が入り、特にパワハラは法律に規定がないため判例もまちまちで難しい。
やはり専門家である弁護士などに早期に相談し早急に解決することが大切。
長引かせて得することは何も無い。
最後に聴講者からかなり個別具体的な質問を3つほど頂き解説。時間の都合で司会の方が遮って下さいましたがまだまだ出そうでした。
パワーポイントを使いながらの90分の講演と質疑応答でしたが、今回は研修会ということもあり、また聴講者のレベルがかなり高かったので内容的にはマッチしていたと思います。さすが弁護士!というと叱られるかもしれませんが、今後研修会名目で「事業承継」「相続」「コンプライアンス」「人権問題」等はもちろん問題無くお勧めできます。
さらに菅野先生の壮絶ないじめ体験に基づく具体的な対応策や被害者だけでなく加害者となったらどうすれば良いかを含めじっくりと講演で聞いてみたいと思いました。
3月19日都内で『人気講師』森 朗先生の講演を聴いてきました弊社お客様主催の講演会で「“たかが雨”では済まされない」というテーマでした。
最近はワイドショーが天気を取り上げる機会が増え呼ばれることが多くなった。去年は猛暑で「暑いからちょっと来て説明しろ」、今年は「大雪で寒いからちょっと来て説明しろ」と言われ「エアコンじゃないんだから」とのっけからお客様を解す様な面白いことを。
今年2/15~16の大雪、見事に気象庁は外し私も含め皆もちろん外した。この日帰宅途中に雪で電車が止まったりして歩くのも大変だったが丁度靴の裏に取り付けるゴムの滑り止めを持っていて助かった。これはたまたま今年仕事で北海道の苫小牧に行った際に新千歳空港のコンビニで購入したが、雪国は除雪が行き届いていて不要だったので鞄に入れていた。そのあと岩手の水沢に行ったら雪が多くて送迎して下さったがやっぱり寒かった。その後御殿場、静岡なら暖かいだろうと思って行ったらこちらもえらい寒くて今年はあちこちで寒い思いをさんざんした。と言われ「あれ、うちでお願いした仕事じゃないかな?」と思って調べたらやはり3か所全て弊社の仕事で行って頂いた所でした。私が聴講していたのできっとお気遣い下さったのでしょう。
暖かくなったので今週はTVに呼ばれないだろうと思っていたら番組から電話が来て「イカが獲れたのでおいでよ」食べさせてくれるのかなと思ったら「ダイオウイカが揚がったから解説しろ」「知らねーよ、イカのことまでわかりませんよ」みたいに何か自然現象が起きると番組に呼ばれるケースが増えてきた。
お客様に「年度末でお忙しくてお疲れでしょうし天気の話は理屈っぽいですからご無理なさらずにおやすみになられてもどうせ大して進んでいませんので」とこれまた下手に出ながらユーモアを交えとても上手です。
近年気象災害(土砂崩れや大雪など)による死者・行方不明者が増え、熱中症でも亡くなる方が増えている。個人的に一番ビックリしたのが2013年8/11に東京の最低気温が30.4℃。歴代2位の記録で上位の他の地域はフェーン現象が原因で全て日本海側。なぜ東京が?色々調べたら「ただ暑かっただけ」確かに天気図を見ると悪さをする原因は何も無かった。
最低気温が25℃以上の夜を「熱帯夜」というが、これは以前NHKの天気予報をやられていた大先輩の倉嶋厚氏が名付親。ご本人に「なぜ熱帯夜と付けたのか」と訊ねたことがある。元はポーランドの言葉で、ポーランドへ行かれた時にロシア語で最低気温が20℃以上の夜を「熱帯夜」(英語ではtropical night)と書いてあるのを目にされ、これは面白い、日本でも使えるが20℃は当たり前なので最低気温が25℃以上で倉嶋氏が使うようになったとのこと。
古文書や木の年輪などから推察すると平安時代も現代と同じように気温が高かった。学習院大学の教授に聞いた話だが朝廷は「朝」という字が入っているが文字通り涼しい朝にしか仕事をしなかったからそう呼ばれた。暑くなったら何もしなかった。
調べてみると沖縄でも雪が降ったことがある。琉球王朝時代の記録に1800年代に沖縄に雪が降って今で言う6cm積もった記述がある。ちなみに近代的な観測が始まってから沖縄で雪が降ったのは久米島でみぞれが降った1回だけ。あとは非公認というか雪の目撃証言が1990年12月に那覇市でのクリスマスイベントにいた人がビデオに収めていて、実際にそのビデオを見たら確かに雪らしきものが映っていた。その時の気温が10℃以上あったので「雪は降らないだろう」「あり得ない」「じゃあ降ったのは何だったんだ?」「きっと埃とか綿のようなもので沖縄の人たちは雪を見たことがないからわからない」みたいな暴言を吐く人もいて「クリスマスイベントで人工的に作った雪が舞ってきたんじゃないか」と様々な説があった。気象台もビデオだけでは確認出来ずに未確認のまま。この時に前出の倉嶋氏が「こんなことがあるんでしょうか?」とインタビューで訊かれ「もしそれが本当だったならば教科書を全部書き直さなければならないようなことですね。」と否定もせず、さらに「これは南の島の雪の謎ということで歴史に留めてはどうでしょうか。」と言われ、爺さんきれいにまとめやがったなと思った。
猛暑、大雪、熱帯夜、80年代後半からの都市気候について、桜の開花、楓の紅葉・落葉などの時期について解説。
そしてテーマでも取り上げている通り温暖化で空気が暖められると雨に影響するが、特に積乱雲の発生は予測し辛い。最近特に1時間に50ミリ以上の激しい雨が増えて排水が追い付かなくなり下水が溢れて道路が冠水したり。ちなみに降水量を表すミリは体積ではない。考え方としては雨が降り地面に浸み込んだり、低い所へ流れていくということはないと考え、全部がそのまま水溜りになったと考えたときの「深さ」をミリで表したものを降水量としていて、面積も関係ない。気象庁のHPを見ると1時間に50ミリの雨は「バケツをひっくり返したような雨」と書いてある。どんな雨かと最近の若い子に訊かれたので「文字通りバケツをひっくり返したような雨だよ」と言うと「家にバケツがないからわかりません」と言われた。1時間に80ミリは「滝のような雨」と表現しているがいまどき滝に打たれたことのある人もほとんどいないと思うのでこういう言い方もそろそろ少し変えた方がいいのかも。
ゲリラ雷雨は地面がもの凄く暖められそこに寒気が入るとその場でしかもどこで起きるかわからないし、15分位で急速に発達するのでレーダーで見ていても観測が追い付かず警告の出しようが無い。
雷、積乱雲から身を守る方法の一つを紹介。雷の特性のひとつに高いものに落ちるというものがあり、どれくらい高いと落ちるかというと25cm、従って雷がゴロゴロと鳴ったら周りにいる人より25cm低くなるようにそーっとしゃがむ。そうすると自分だけは助かる。
日本の場合は地球が温暖化しているから最近は雪が増えている。その理由は大西洋暖気がシベリアの寒気を日本に押し出すから、これを専門用語で「オストアンデル効果」と言う。饅頭をイメージし押すと餡が出るというインチキ外国語。
しばらくは夏は暑い、冬は寒いというのが続くのかもしれない。
3/10に「今年はエルニーニョが発生する可能性が高い」と発表された。以前なら冷夏の予想になったが80年代後半からこのセオリーが通用しなくなってきて、エルニーニョでも猛暑になる年が多くなっていて今年の夏も暑いと思った方が良いかも。
異常気象は人工的な要因の他に高齢化も影響している。人間誰しも生きている限り毎年1つ齢を取る。「私も前から見るとそうでもないように見えますが後ろから見てもらうと良くわかりますが大分森林破壊が進んでいます」と自虐ギャグ、ウケさせます。
今年は午年、過去の午年にはたくさん災害が起こっていて災害の多い年と言われている。一番驚いたのは冒頭に述べた岩手の水沢のお客さんに『午年だった1978年に江東区で地下鉄が鉄橋を渡っていて竜巻による強風で脱線』という事故の「地下鉄が鉄橋を渡っていた」ことに驚かれたことだった。
最後に「特別警報」について話され、質疑応答の時間を取って丁寧に答えて下さった。
異常気象についてはなかなかTVでは時間が無くて聞けない専門的なことはもちろん、パワーポイントを駆使し様々な図、データなどをわかり易くそして飽きさせないように工夫しながら、ギャグを入れ上手に笑いを取りながら面白いことを織り交ぜながらのとても良い講演だと思います。大人だけでなく子供たちにも聴かせたい内容だと思いました。
とても講演を始められて数か月とは思えないほどレベルの高い、内容の濃い、楽しくてためになる講演です。講演後森先生に始められた頃に比べお世辞抜きで、はるかに上手になられたし、講演に向いていらっしゃるし、きっとご自身も講演がお好きでもっと良くしよう、もっと面白くしようという思いを持っておられ、その姿勢がひしひしと感じられてとても良かった。これからもっともっと良くして頂けそうですねと申し上げました。
お問い合わせ・ご相談は
日本綜合経営協会は、全国47都道府県を対象に講演依頼に基づく講師派遣や、企画提案などを行なっております。
主催者の開催目的に合わせた最適なご提案から、手続き運営サポートまで。業歴49年、経験豊かな当社スタッフにトータルでおまかせください。