10月に神奈川県内で、長年の弊社お得意様ご主催で、秋川リサ(あきかわりさ)先生の「元気なうちに家族で話し合おう介護について」と題しての講演を聴いてきました。
開口一番「なぜ私が介護の話なのか?」
82歳で認知症を患い89歳で今年(2016年)6月に亡くなった母。
在宅介護2年、施設での介護5年。
長生きするのも大変だとつくづく思う。
認知症の分類、症状など。
認知症の母が近所に買い物に行くと、「娘がご飯を食べさせてくれないの」と言っていた、15歳から働いて母を養ってきたのに。
また、昔から好きな男性ができると家を出て行き、最後は78歳の時に82歳の男性を好きになって家を出て事実婚をしたこともある自由奔放な母。
そして82歳で認知症になり戻ってきた。
当初「要介護1」、6か月後「要介護3」
「私は誰?」、「ここはどこ?」、「あなたは誰」となっていく。
母がそうなるまでは他人事だった。
さらに、トイレが間に合わなくなり汚物が部屋にあり訊くと犬のせいにする。
お茶を淹れようとやかんを火にかけるが空焚きする。
ガスの元栓を締めると新聞紙丸めて火を付ける。
昼夜の観念が無くなり、夜中の通販番組を見て5分おきに注文。
商品が大量に届き、通販会社に電話し「同じ人が同じものを同じ日に何度も注文しておかしいと思わないのですか?」と質すと「大変お気に召して頂いたものと・・・」と言われたこともある。
「あの人寝たきりのおじいちゃん置いて、よくこんなとこ(カルチャーセンター)に来られるわよね?ひどいわね」と言う人が時々いるが、大きなお世話。
介護はいつ終わるかわからない。
する方も大変。
施設の種類、現状について。
日頃の近所付き合いがとても大事。
認知症JR事故の最高裁判決(逆転無罪)にも触れ、徘徊されると家族は24時間態勢で見張ることはできない。
特養は入居まで早くて4年と言われている。
これでは介護する側が先に参ってしまう。
すると有料老人ホーム。
だいたい月に25万円程度掛かるとすると、一人っ子同士が結婚しそれぞれの両親が入所すると月額約100万円、とても負担できる金額ではない。
いかに将来が不安か。
これでは子供にお願いできない。
「どう死ぬか」ということは「どう生きるか」ということ。
母が亡くなった時精一杯のことはしたという自負があったので、正直な気持ちホッとした。
母が最期に認知症という現実を見せてくれた。
実の親子だから面倒臭いし、別れられない。
残念なことだがお金は掛かるという現実がある。
母の死後、縁あって対談した施設の社長さんから「働いてみますか?」と言って頂き、介護施設で週3日、行けない日もあるが東京都の最低時給で働かせてもらっている。
なぜ働くか?
私の介護は良かったのか?本当の介護って何だろう?ということを知りたくなったから。
来春までにちゃんと資格を取ろうと勉強している。
介護は究極のサービス業だが、介護士の給料が低過ぎて唖然とする。
もう少し何とかならないのかと思う。
入居者やそのご家族も彼らに笑顔でありがとうと言ってくれるだけでどれだけ救われることか。
元気なうちに若い人たちと仲良くして新しいものにも興味を持って飛び付くことが大切。
SNSをやっていると徘徊された時に捜せて便利ということもある。
息子が「お母さんが認知症になったらどうすればいいんだろう?」と言ったら、娘が「お金だけ出して口出さなきゃいいのよ」と。
施設は決して姥捨て山ではないので、元気なうちに自分で決めておくこと。
そしてどうせ施設に入るのなら感謝して楽しみましょう、と括られた。
毎年介護離職者が10万人と言われている昨今、介護は他人事ではなく誰しも自分が「する側」となり、その後は「される側」になる可能性があるという認識を持ち、仕事を辞めずに済むように社会も会社も受け入れ、態勢を整えることが必要だと考えさせられた。
また、今回の聴衆の方々は「される側」に近い年齢層だったが、施設で働いている方や「する側」のご家族向けの視点での内容のものもあり、介護の実体験だけではなく施設で現在も勤務し、介護をライフワークと公言しておられる秋川リサ先生のお話は愛と優しさいっぱいの毒舌ではありますが、自身をさらけ出されるのでなぜか憎めない心温まる講演です。
知名度に照らしコスパも申し分ありません。
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