都内で弊社お得意様主催の池田清彦(いけだきよひこ)先生の講演を聴いてきました。
講演前に喫茶店でコーヒーを飲みながら先生から昆虫の幼虫についての講義を軽く頂きました。カブトムシの幼虫は堆肥を食べているので臭くて食えない。美味しいのはカミキリムシの幼虫。蜂の子に匹敵するほど美味い。蝉の幼虫もなかなかで、アブラゼミが美味くてクマゼミは堅くて食えないといった興味深い話でしたが私はちょっと引いてしまいました。
さて、「がんばらない生き方」と題しての講演でした。冒頭でサヴァン症候群(ある能力だけ凄くある人)のナディアというレオナルド・ダ・ヴィンチも真っ青の絵を描く天才と言われた実在の女の子がいて、ただし言葉が喋れないので周りが一生懸命言葉を教えて少し喋れるようになったら駄作しか描けなくなってしまった。
脳は容積が決まっていて、場所によって司る能力が違っており、その能力は脳に占める領域の割合に正比例する。サヴァン症候群はそれが突出して表れたもの。
また、盲目の人で辻井伸行さんのようにピアニストとして一流になることは脳科学においては理に適っていて、視覚は後頭部にある視覚野で見ているが盲目の人は視覚野が聴覚野に変換され音に使える領域が大きくなるので有利。従って天才が出やすくなる。
言語能力は7歳までに耳から入る言語で決まるので、良い日本語を読んで聞かせることが大事。読み聞かせる場合はあれこれ色々な本を読むのではなく、子供が好きな本を飽きるまで毎日何度も繰り返し読んであげる方が良い。
バイリンガルの方がそうでない人よりも収入が高いというデータがある。ではどうすればネイティヴ・バイリンガルに育てられるか?7歳になるまでの間、家では日本語だけ、幼稚園では英語だけで会話がなされる環境に置いてやればそうなる。但し、本来1つの言語が占めるべき所を2つの言語が占めることになるため、言語野が占める左脳の側頭葉にある容量を食い合うので必ず欠落した部分が表れ専門的なことを研究するような職業(学者など)には不向き。
どうしても英語が必要なら後天的に脳内の違う場所(右脳)に英語用の言語野を作ることができるので心配ない。池田先生も7年前57歳で早稲田大の教授になられた時に英語で授業することになり猛勉強しながら夏休みまでの間必死で授業し、休みに入った途端「もう休み明けまで何もしない」と決め、勉強を一切せず10月の授業を迎え教壇に立つととてもスムーズに英語がどんどん出てきて死にもの狂いで勉強していた時よりも日本語に変換することなく英語で聞けてそのまま英語で喋れるようになった。これは休んでいる間に記憶が神経細胞のシノプスで繋がった状態になったということ。勉強も頑張り過ぎてはいけない。休むことがとても大事。ただ第二言語習得能力は遺伝子で決まっているのでそのDNAを持っていない人には無理。
勉強が苦手、勉強しなさいと言ってもしないお子さんをお持ちの親御さんに朗報かも。
短期記憶(=勉強)を収容する場所は海馬。大きいと頭が良いと言われている。例えば5時間の勉強に向いている脳と2時間にしか向いていない脳、当然前者が有利だが、後者もやりかたひとつ。要するに大きなバケツに水を大ジョッキで貯めるかコップで貯めるかの違いなので、「いっぱいになったら少し休んでカラにしてまたいっぱいにして」を繰り返せばコップでもバケツはいっぱいになる。勉強は規則正しくやるのは良くない。いい加減に勉強した方が良い。人間やりたくない時にいくらやっても水でいっぱいになっているコップに注ぎ足しても溢れてこぼれるように頭には入らない。自分の脳の特性を知り無意味な努力をしてはいけない。
養老孟司先生とも昔から親交があり、昆虫学会でも一緒。養老先生は鎌倉の開業医の家に生まれ、お父さんを早く亡くし母子家庭だった。小学校1年生ぐらいの時に飼っていた犬のフンを庭で座ってじっと見つめ、お母さんが1時間以上経って往診から帰ってきてもまだ見ていたので「頭がおかしいかも」とお母さんにその手の病院に連れていかれ、大丈夫だったそうですが。池田先生が「何をしていたんですか?」と訊くと「池田君、犬のフンには色々な虫が集まってくるから見ていて飽きないんだよ」と。やっぱり変わった人で、母子家庭で開業医ですから当然跡を継げとなり、本当は昆虫学者になりたかったらしいが、「とんでもない」となり、嫌々仕方なく東大の医学部に入った。入りたくても入れないのに。その後臨床医になろうとしたが「臨床医になると俺は何人人を殺すかわからない。解剖なら殺す心配はない、もう死んでるから」と言って解剖学の道へ。「バカの壁」が売れて印税が入り箱根に昆虫館を作り、仲間の南伸坊氏に「壁に絵を描いてくれ」と頼んだら「馬と鹿」の絵を描いてくれて、「これが本当の『バカの壁』」と。
2013年に100歳以上は54,000人、その内女性が47,000人。現在の最高齢は大川さんというおばあちゃんで115歳。33年前の1980年に100歳以上は1,000人、1960年にはたった100人。そして調査した全ての年で最高齢者は115歳プラスマイナス3歳。分母が大きくなれば寿命も延びると考えるのが普通だが全くそうはなっていない。これは人間が115歳プラスマイナス3歳までしか生きられないということ。
癌細胞が1個できて細胞分裂を繰り返し10年経って100万個、大きさは1ミリ、この時点で現代の医学では発見できない。そして更に5年経つと10億個、大きさが1センチ、ここでやっと発見されて初期の癌と言われる。これが良性なら切れば治ったということになるが、悪性で転移していたらこれは治らない。70歳過ぎてがん検診に行く奴はアホ。周りを巻き込んで大騒ぎして、場合によっては手術して千万単位の高い治療して3年で死んだら、大騒ぎして心配して遺産が少なくなって良いとこ無し。だったら余命あと1か月と言われてポックリ逝って遺産を少しでも多く残した方が喜ばれる。これが本当の「知らぬが仏」。
≪長生きするためのメソッド3つ≫
① 親切にすること(ボランティアすることも含む)
② 家族団欒すること
③ 笑うこと
※脳科学的に言うと結果的にボランティアは他人のためにやっているのではなく自分の為にやっている。
まさにこれが「情けは人の為ならず」だ、と思いました。
≪子供の未来を明るいものにするメソッド≫
お祖父さんがお孫さんを可愛がり、30分以上一緒に風呂に入っているとその子は社会的に偉くなり成功する確率が高いことが証明されている。
池田先生から最後にこの時期ですから簡単に最も効率良くできるインフルエンザの予防法を教えて下さいました。
ペットボトル(水でもお茶でも可)を持ち歩き、10分間に1度一口飲むこと。
うがいで流せるウィルスは咽頭の上部だけ。飲むことで咽頭下部のウィルスを胃の中に落として胃液で滅菌できる方法。
但しノロウィルスには無効ですのでご注意を。
どうぞ皆さんもくれぐれもご自愛のほど。
もっとご紹介したかったのですが抜粋で申し訳ございません。
池田先生の講演は大変楽しく、ためになり、「なんだ、そんなに頑張らなくてもいいじゃない」と思わせてくれ、且つ爆笑の連続なのに格調高い“サイエンス漫談”といった感じでしょうか。
お客様も全く90分という時間を感じなかったと思います。
環境問題についても造詣が深く、どんな要望にも応えて下さるし、機会があれば是非子供たちにも、いや親子で聴いて欲しい講演です。
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